それは加奈ちゃんとの出会いから始まった。
桜の花が咲く頃、平川動物園でのライブにろう者の加奈ちゃんが遊びに来てくれた。振り付けに手話を取り入れた私をみて、彼女の笑顔は この日の太陽のように輝いていた。嬉しくて嬉しくて、彼女が音楽の世界への扉を開けるお手伝いをしたいと強く思った。
音の振動を伝えるバルーンを使ってのコンサート、手話や歌詞をプロジェクターで投影する方法など調べたが、もうひとつ満足出来なかった。
そこで、作詞、作曲、演出家の先生方に相談してみた。そして生み出されたものが、見る音楽「歌のバリアフリー
コンサート」だ。これはろう者にとっての歌の三要素「気持ち」「テンポ」「歌詞」をパフォーマンス
で表現する。歌う私の隣りでこの三人が表現することでひと目で歌が見えるようになった。これは世界初の試みなので「AOB方式」と名付けた。
コンサートの一部を「手話ミュージカル」二部を「見る音楽コンサート」とし、初演日を迎えた。サンエール鹿児島のホールは満席で立見も出た。ろうの子供達も大勢訪れ、大盛況で幕を閉じた。そして、コンサート終了後のロビーで画期的な事が起こった。たくさんのろうの子供がCDを買ってくれたのだ。「自分がコンサートで楽しんだ事を友達に自慢したいから!」だという。楽屋へ戻った途端、わあと涙が溢れて止まらなかった。このコンサートを世界中の子供達に広めていきたい!!
加奈ちゃんと出会って私の目の前に大きな宝船がやってきた。その船に加奈ちゃん、マサカ・ハタ、ベルギー人のクララ、マダム・ツボム、イスラエル人のヤップリンと友歩が乗り、スペシャルゲストに田中星児さんをお迎えして「歌のバリアフリーコンサート」(ろう者と健聴者が共に楽しめるコンサート)という大きな旗を揚げて只今、大海原へ乗り出したところだ。
手話ミュージカル「不思議の村の宝物」